カンガルー便
我々は歴史の匂いプンプンのメルボルンに別れを告げ、一路ブリスベンへと向った。ゴールドコーストへ行くためである。ゴールドコーストは恐らくメルボルンとは似ても似つかない、およそ歴史とは縁のなさそうな軽〜いノリの街であろう。オーストラリアの地図で見ると、メルボルンからブリスベンへはちょこっと北上すると着きそうな距離に思える。北海道でいうなら(なぜかオーストラリアとの比較だと北海道を持ち出してしまう)釧路から根室って感じだ。バスで2時間も行けば着いちゃうのかな、な〜んて思ってしまうが、実際は飛行機で2時間かかった。オーストラリアの大きさを甘く見てはいけないということか。 飛行機はカンタス航空を利用した。ホントはスターアライアンスメンバーのアンセット航空を使ってマイレージをつけようと企んでいたのだが、昨年(2001年)の秋にあえなく潰れちまった。資本関係の深いニュージーランド航空とシンガポール航空との間でアンセット航空の買収についていろいろと悶着があったのだが、結局どうにもならなかった。そんなわけで、西濃運輸みたいなカンガルーのマークのカンタス利用となったわけだ。黒ネコや飛脚やペリカンのマークのエアラインがあったら、エアラインとしてあんまりイメージがよくないし利用する気もおきにくい。でもネットワークが小さな村レベルでもあってすごく便利だったりして。ところでこのカンタス航空って今まで死亡事故がないらしい。それは確かに安全面で信頼性が高い要件ではあるが、多少の死亡事故は飛行機にはあって当り前という前提に立って考えると、何十年も死亡事故がないということは確率的にそろそろいつ起きても不思議ではないということになるわけで、例えて言うなら休火山や活断層が長年貯め込んだエネルギーを一気に爆発させるような大事故がスタンバってるんじゃないかという不安がある。だから私は事故を起こした直後の航空会社は割と躊躇なく使う。確率的にそうそう連続しては起きないだろうという安心感がある。もっとも、頻繁に事故を起こしている会社は論外。それはともかく、安全性とともにフレンドリーなサービスで人気のあるカンタスであるが、「フレンドリーなサービス」とは日本語で言えば「大雑把なサービス」と理解していた私にとって、全く期待を裏切るものではなかった。ひょっとして国際線だったらフレンドリーかつちょっと繊細なサービスなのかもしれない。しかも僅か2時間のフライトなのにすごく揺れっぱなしで、わざと揺らしてんじゃないかと思うほどだった。空軍のアクロバット専門のパイロットだったのかもしれない。 |